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八田 善弘 先生(日本大学)

ASH2009 ポスター発表報告 日本大学血液膠原病内科 八田善弘

Promising Outcome of Imatinib-Combined Chemotherapy Followed by Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation for Philadelphia Chromosome-Positive Acute Lymphoblastic Leukemia: Results of the Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG) Ph+ALL202 Regimen

八田善弘1)、水田秀一2)、大竹茂樹3)、杉浦勇4)、上田恭典5)、金森平和6)、秋山秀樹7)、竹内誠8)、
薄井紀子9)、湯尻俊昭10)、藤枝敦史11)、木口亨12)、陣内逸郎13)、直江知樹14)、大野竜三15)

1)日本大学、2)藤田保健衛生大学、3)金沢大学、4)豊橋市民病院、5)倉敷中央病院、
6)神奈川がんセンター、7)都立駒込病院、8)南岡山医療セ ンター、9)東京慈恵会医科大学、
10)山口大学 、11)三重大学、12)東京医科大学、13)埼玉医科大学、14)名古屋大学、15)JALSG

緒言

Ph+ALLに対するグリベック併用化学療法であるJALSG Ph+ALL202プロトコールは高い寛解率を示し、
予後の改善が期待された(Yanada et al, J Clin Oncol. 2006)。
しかしながらこの解析は観察期間中央値1年の時点であり、その長期予後は不明である。本研究ではとくに第1寛解期での非移植例を中心に長期予後を解析した。

Ph+ALL202プロトコール  
 CPM、DNR、VCR、PSLで寛解導入を開始し、day 8-63までグリベック 600 mgを経口投与する。
地固め療法は大量MTX、大量Ara C、mPSLのC1とグリベック単独のC2の交代療法を4サイクル施行する。
その後、月1回のVCR、PSL投与に加えてグリベック内服を寛解から2年間継続する維持療法を行う。
HLA一致同胞がいれば同種移植(allo HSCT)を推奨し、骨髄バンクや臍帯血移植も施設基準で可とした。

患者背景

今回の解析対象は2002年8月から2005年8月までに登録された101例(男性55例、女性46例)であり、
年齢中央値は49歳(15-64歳)、観察期間中央値は1697日(17-2522日)であった。

結果

寛解は101例中98例に認められ寛解率は97.0%であった。
第1寛解期でのallo HSCTは55歳以下の74例中55例、55歳を超える24例中6例に行われた。
全症例の3年生存率は58.8%であった。

  55歳以下で第1寛解期にallo HSCTが行われなかった19例中15例(78.9%)が再発したのに対しallo HSCTが行われた55例では再発は9例(16.4%)であり、移植群で有意に再発率が低かった。
3年生存率は第1寛解期非移植群で38.1%、移植群で65.2%であり生存率も移植群で有意に良好であった。

 55歳を超える群では第1寛解期にallo HSCTが行われた6例では再発がなかったが非移植群では18例中11例(64.7%)が再発した。
3年生存率は第1寛解期非移植群で50.5%、移植群で100%であった。

  第1寛解期で移植を行わなかった症例について予後因子の抽出を試みたが、年齢、初診時白血球数、初診時のbcr-ablコピー数、bcr-ablのmajor/minor type、骨髄球系表面マーカーの発現、付加的染色体異常の有無はいずれも生存、再発の予後因子とはならなかった。

 現在のところ、グリベック併用による明らかな有害事象は認められていない。
しかし、早期死亡の1例は肺出血であり、今後注意するべき有害事象の可能性がある。
死因の多くは再発および移植関連死で、その他は化学療法関連死(3例)、他病死(4例)、自殺(1例)であった。

結語

グリベック併用化学療法であるJALSG Ph+ALL202プロトコールは安全かつ有効であった。
しかし非移植例では長期的には再発が多いことから、グリベック併用化学療法の意義はallo HSCTを
組み合わせることで全体の予後を改善させることにあると考えられる。
グリベック併用化学療法で、より早く、より多くの患者さんを寛解に入れ、その寛解期間を長くすることで
allo HSCTの機会を提供することが目標になるが、一方でallo HSCTを行えない症例に対する治療戦略は
今後の課題となった。
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