Clinical features and outcomes of elderly patients with acute promyelocytic leukemia (APL)
- The Japan Adult Leukemia Study Group APL97 Study -
小野 孝明 先生(浜松医科大学 第三内科)
ASH2010ポスター発表報告 浜松医科大学第三内科 小野 孝明、竹下 明裕
背景
高齢者APLは、化学療法の毒性や骨髄抑制期の感染症による早期死亡、寛解後死亡により若年者よりも治療成績が劣るという報告がある(Ades
et al, 2005, 2010, Mandelli et al, 2003)。
一方、PETHEMAグループは、ATRAとアントラサイクリン単剤で高齢者APLを治療し、若年者と同様の優れた成績を報告している(Miguel A et al, 2004)。
今回、JALSG APL97 studyに登録されたAPL症例で、年齢因子が臨床的特徴と予後にどのような影響を与えるかを検討した。
一方、PETHEMAグループは、ATRAとアントラサイクリン単剤で高齢者APLを治療し、若年者と同様の優れた成績を報告している(Miguel A et al, 2004)。
今回、JALSG APL97 studyに登録されたAPL症例で、年齢因子が臨床的特徴と予後にどのような影響を与えるかを検討した。
対象と方法
JALSG APL97 studyに登録されたAPL患者302例のうち、評価可能な283例 (15歳から70歳)を対象とした。
若年者と高齢者は同じプロトコールで治療が行われた。
臨床転帰の解析は2009年1月に更新された追跡調査のデータを用いた。
性別、初診時の白血球数や血小板数、DIC score、M3 variantや付加的染色体異常の頻度、ECOG performance status、診断時の血清アルブミン値、CD56やCD34の発現率、診断時の感染症の有無等の臨床的特徴を若年者群(15-59歳)と高齢者群(60-70歳)で比較した。
完全寛解率、寛解導入療法と地固め療法中の治療関連死亡率とその原因、全生存率(OS)、無病生存率(DFS)等を両群間で比較した。
若年者と高齢者は同じプロトコールで治療が行われた。
臨床転帰の解析は2009年1月に更新された追跡調査のデータを用いた。
性別、初診時の白血球数や血小板数、DIC score、M3 variantや付加的染色体異常の頻度、ECOG performance status、診断時の血清アルブミン値、CD56やCD34の発現率、診断時の感染症の有無等の臨床的特徴を若年者群(15-59歳)と高齢者群(60-70歳)で比較した。
完全寛解率、寛解導入療法と地固め療法中の治療関連死亡率とその原因、全生存率(OS)、無病生存率(DFS)等を両群間で比較した。
結果
評価可能症例283人のうち若年者群は237人(年齢中央値44歳)、高齢者群は46人(年齢中央値63歳)であった。
高齢者群は若年者群と比較し、血小板10×109/L未満、ECOG PS3~4、血清アルブミン値が3.5g/dL未満の患者が多かった(それぞれp=0.04、p=0.02、p=0.006)。
その他の臨床背景には両群間で差を認めなかった。 完全寛解率は、若年者群で96%、高齢者群で86%であり、両群間に差を認めなかった(p=0.06)。
寛解導入療法中の死亡率は若年者群4%、高齢者群11%で差を認めなかった(p=0.08)が、分化症候群による死亡率は0%と4%で、高齢者群で有意に高かった(p=0.03)。
さらに3回目の地固め療法中の治療関連死亡率は1%と9%で、高齢者群で有意に高かった(p=0.04)。
地固め療法中の死亡原因はすべて感染症であった。
OS(10年)は87%と65%であり、高齢者群が有意に劣っていた(p<0.001)。
DFS(10年)は67%と65%で、両群間で差を認めなかった(p=0.70)。
高齢者群は若年者群と比較し、血小板10×109/L未満、ECOG PS3~4、血清アルブミン値が3.5g/dL未満の患者が多かった(それぞれp=0.04、p=0.02、p=0.006)。
その他の臨床背景には両群間で差を認めなかった。 完全寛解率は、若年者群で96%、高齢者群で86%であり、両群間に差を認めなかった(p=0.06)。
寛解導入療法中の死亡率は若年者群4%、高齢者群11%で差を認めなかった(p=0.08)が、分化症候群による死亡率は0%と4%で、高齢者群で有意に高かった(p=0.03)。
さらに3回目の地固め療法中の治療関連死亡率は1%と9%で、高齢者群で有意に高かった(p=0.04)。
地固め療法中の死亡原因はすべて感染症であった。
OS(10年)は87%と65%であり、高齢者群が有意に劣っていた(p<0.001)。
DFS(10年)は67%と65%で、両群間で差を認めなかった(p=0.70)。
結論
高齢者APLでは治療の強度、出血や感染症に対する対策が必要と考えられる。
亜ヒ酸の導入を含め、化学療法投与量も検討されるべきと思われる。
亜ヒ酸の導入を含め、化学療法投与量も検討されるべきと思われる。
謝辞
本発表にご協力いただきました麻生範雄先生、直江知樹先生、大野竜三先生を始めJALSG研究グループの皆様に深謝いたします。