SOHO2017参加報告書
SOHO(Society of hematologic oncology)は2012年にMD Anderson Cancer Centerの先生方が中心となって作られた比較的新しい学会です。この学会の特筆すべきところは、血液腫瘍に関する教育を中心に考えられた学会であるということです。
4日間の学会期間中、朝”Meet the professor”から始まり、基本的には午前・午後で1分野ずつ、それぞれの分野のspecialistが15分程度、現在までの治療や今行っている臨床研究・治験、あるいは基礎研究についての講義を行います。各セクションの最後には”Next Question”と銘打って、これらの情勢を踏まえた上での今後の展望を総括してくれて、全体で2-3時間程度の内容の理解がより一層深まります。
また、ほぼすべての講義データが専用のappやHPからダウンロードが可能となっており、このことも本学会が若手血液内科医に対する教育に心血を注いでいることのあらわれかと思います。もし興味がある方はHPやappから確認して頂ければ、実際どういう講義だったのかがわかると思います。
CAR-TやBCL-2阻害薬などをはじめとした分子標的薬が今回の学会でも、議題の中心でしたが、それらはMD Anderson Cancer Centerをはじめとした米国の一部の施設では当然のように運用されており、すでにそれらの適用拡大や副作用のコントロールなどを検討するstudyの結果が出始めているなど、1歩2歩どころではない程の医学の進歩に驚かされました。これらのことについては学会終了後、MD
Anderson Cancer Centerにお勤めの佐々木先生からも、新規の治療の実際の手ごたえや問題点をお話しして頂き、理解がさらに深まりました。
繰り返しになりますが、本学会は若手血液内科医の教育ということをかなり意識して構成されています。基礎知識が足りない、英語に自信がないなど、ご不安な方もおられるかもしれませんが、それよりもぜひ血液の最新の知識を得たいという気持ちのある方は参加されることを強くお勧めします。来年・再来年の学会予定もすでに決まっており、早めに予定を組むことも可能かと思います。私は今回初めての海外学会に参加させていただき、ポスター発表と英語でのディスカッションもさせていただき、非常に貴重で刺激的な経験を積むことができました。
最後になりましたが、血液腫瘍を学んでいく上でこれほど素晴らしい機会はないと思える学会に、travel grantとしてポスター発表と学会参加の機会を与えてくださり、現地でも手厚いご指導を下さいました大野竜三先生に感謝を申し上げます。