申し上げます。
2009 ASHは、ハリケーン・カトリーナの被害から復興後のNew Orleansで行われました。
会場のErnest N. Morial Convention Centerとそこからほど近い旧市街(フレンチクオーター)の周辺は被害が
比較的少なかったそうで、古いjazzホールなど趣のある町並みが残っていま した。登録をしにいった学会前
日は、2万人を超える参加者を収容するその会場の規模の大きさに、まず圧倒されました(期間中も会場間
の移動が容易ではあり ませんでした)。
初めての国際学会であり、英語力のなさや時差にはやはり苦しみましたが、それでも最新の知見や洗練され
たプレゼンテーションから多くの刺激を受け、高いモチベーションを持って帰国することができました。
いつかは自分の演題を持って参加できればと思っています。
また、日本の白血病診療を支えるJALSGの先生方や同世代の先生方と現地で話をできる機会があったこと
も、大きな収穫でした。課外活動としては、歴史あるPreservation hallでjazzを聴いたり、Cafe du Mondeで
ベニエ(穴の開いていない四角いドーナツ)を食べたり、楽しい思い出もできました。以下、月並みですが、
興味を持った演題を示します。
最後に、繰り返しになりますが、このような貴重な経験をさせていただきました関係者の皆様、
本当にありがとうございました。
1. LBA-1:
Nilotinib Demonstrates Superior Efficacy Compared with Imatinib in Patients with Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia in Chronic Phase: Results From the International Randomized Phase Ⅲ ENESTnd Trial
新規CML-CP症例に対するfirst line治療として、ImatinibとNilotinibの効果を比較したrandomized trialの
報告。新規Ph+ CML-CP患者846例を、Nilotinib 300mg bid群、400mg bid群、Imatinib 400mg qd群に
無作為かつ均等に割り付けた。
Primary endpointは12ヶ月時点でのMMR率、Secondary endpointはCCyR率。観察期間中央値は14ヶ月。
患者・疾患背景については各群間で有意差なし。Sokal high risk症例は28%。12ヶ月時点でのMMRは
Nilotinib 300mg bid群・400mg bid群でImatinib400mg qd群に比し優れていた(44% vs. 43% vs. 22%,
P<0.0001)。
同2群ではMMR到達期間中央値も早く(5.7mos vs. 5.8mos vs. 8.3mos)、またadvanced diseaseへの
移行率も優位に低かった(2pts vs. 1pts vs. 11pts)。総じて各群での忍容性は良好であった(AEによる治療
中止は各群で7% vs. 9% vs. 11%)。新規CML-CP症例に対し、Nilotinibは、300mg bid・400mg bidいずれ
においても、Imatinib 400mg qdに比しより速く深いMMoRおよびCCyRをもたらし、また治療開始1年の時点
でAP/BCへのtransformationも少ないことが示され た。その高い有効性と安全性から、Nilotinibは新規CML
-CP症例に対し標準的なfirst line治療になる可能性がある。
2. #405:
Bendamustine Plus Rituximab Is Superior in Respect of Progression Free Survival and CR Rate When Compared to CHOP Plus Rituximab as First-Line Treatment of Patients with Advanced Follicular, Indolent, and Mantle Cell Lymphomas: Final Results of a Randomized Phase Ⅲ Study of the StiL(Study Group Indolent Lymphomas, Germany)
Bendamustine+Rituximab(B-R)療法の再発性/治療抵抗性MCLに対する高い有効性を示した
PhaseⅡ studyに基づき、CD20+のindolent/mantle cell lymphomaへのfirst-line治療として、B-R療法と
CHOP-R療法を比較するPhaseⅢ studyがなされた。対象はstageⅢ/ⅣのCD20+ indolent B/mantle cell
lymphoma患者549名。
化学療法・IFN・Rによる治療歴がないことが条件。B-R群(R 375mg/m2 day1, B 90mg/m2 day1+2,
every 28days)とCHOP-R群(R 375mg/m2 day1, standard CHOP regimen, every 21days)に無作為に
割り付けられた。治療期間はいずれも最大6 cycles。Primary endpointはPFS。両群の患者背景(年齢・
病期・LDH・IPI・FLIPI・BM浸潤・節外病変)に有意な差はなかった。年齢中央値は64歳 (31-83)。
病期Ⅲ/Ⅳの患者が大半を占めた(76.9/19.2% in BR, 77.5/18.6% in CHOP-R)。組織型の偏りはなかった
(FL/MCL/other indolent lymphomas=55/18/27% in BR, 56/19/24% in CHOP-R)。評価可能であったのは
513例(B-R:n=260; CHOP-R:n=253)、うち9名は早期死亡・治療変更・早期病勢悪化のため解析不能であ
った。B-R群の82%、CHOP-R群の86%が6 cyclesを完遂。観察期間中央値は32ヶ月。
ORRは同等(92.7% in B-R, 91.3% in CHOP-R)。CR率はB-R群が勝った(39.6% in B-R, 30.0% in CHOP
-R(p=0.026))。
PFS/EFS(Event:
あり(neutropenia G3/4: 10.7% vs. 46.5%(p<0.0001), leukocytopenia G3/4: 12.1% vs. 38.2%(p<0.0001))、
GCSF使用頻度もCHOP-R群で多かった(4.0% vs. 20.0%(p<0.0001))。
その他、B-R群では、脱毛・感覚異常・口内炎・感染において有意に少なく、薬剤性紅斑のみ有意に多かっ
た。 Bendamustine+Rtuximab療法はCHOP-R療法におけるPFS/CR率を改善しかつ毒性を軽減するもの
であり、新規FL/MCL /indolent lymphomasのfirst-line治療として標準的になる可能性がある。