この度はJALSG Young Investigator Awardに選出してくださり、このような機会をいただき誠にありがとう
ございます。簡単ではありますがASHに参加した感想を述べさせていただきたいと思います。
天候には恵まれましたが、予想していたより肌寒いニューオリンズにある会場のガラス張りの巨大なエント
ランスホールを通過すると、町ひとつが入るくらいの
巨大な学会会場が現れ、おそらく米国人以外の世界
各国の人々も含むであろうと思われる多様な人種の人々が歩き回る光景は、日本ではお目にかかれない
異空間
に紛れ込んだような感覚を呼び覚ましました。ニューオリンズという土地柄かジャズの生演奏がなさ
れており、一種独特の空間を示していました。
ASHでは教育講演を中心に聴講しました。
教育講演は各疾患について最新の情報が満載されており、英語のヒアリング力が乏しいため、癖のある
発音の講演は
ほとんど理解できませんでしたが、スライドが分かりやすくまとまっていたため、そこから
内容を推察しながら理解していきました。またOral
Sessionは各会場に向かうために、歩き回りながら
興味ある演題について拝聴しました。
自分にとって興味深かった演題としては、Southwest Oncology
Studyの多施設共同第Ⅲ相無作為化試験
で「未治療AMLの寛解導入や地固めにGemtuzumab
Ozogamicin(GO)を併用しても寛解率、RFS、DFS、
OSの改善がなかった」という中間報告は、GOに期待していたため、残念な結果として
印象に残った。
逆にM.D.Andersonの報告で「ハイドロキシウレア抵抗性の骨髄増殖性疾患に対するJAK1/2阻害
剤INCB018424の第Ⅱ
相試験」は良好な奏効率を示しており、今後日本国内の使用が待ち遠しいと思い
ました。同様に悪性リンパ腫に対しR-CHOP療法以上の治療効果を示した
Bendamustin+リツキシマブの
成績も今後に期待がもたれると思いました。
ASH全体を通して感じたことは世界中にこれだけ多くの人が血液学の臨床関係者あるいは研究者として
従事しており、普段は限られた狭い世界で働いているた
め感じられないのですが、自分が血液学に従事
する者として、たくさんの同業者がいると言う安心感と誇りを与えられました。また絶えることなく綿々と続く
発表が医学の進歩は決してとどまることなく、着実に進歩していくであろうこと実感させられました。
日ごろ会うことのできない日本の知人が世界の中で発表して
いる姿にも勇気をもらいました。
今回はAward受賞者として参加しましたが、いつか自分もこのような場で発表したいと思いました。
そのためには日ごろの日常診療に加えて、発表に値する
ような研究を着実に行い、ASHにて発表すること
を短期的な目標に据え、長期的にはそういった積み重ねで血液学の進歩に貢献できるように努力したいと思いました。
最後に今回選考してくださったJALSGの諸先生方、事務局の方々に感謝の念を示ししつつ、終わりたいと思います。