よりよい白血病治療のために
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柴崎 康彦 先生(新潟大学 第一内科)  

ASH2009 Report  新潟大学医歯学総合研究科第一内科  柴崎 康彦

このたび、JALSG Young Investigator ASH Travel Awardのご厚意により第51回米国血液学会(ASH)に
参加させていただきましたことを、心よりお礼申し上げます。

 今回のASHは、アメリカ南部New Orleansの Ernest N. Morial Convention Centerにて12月5日から8日
まで開催されました。私にとってASHに参加するのは初めての体験であり、会場の広さ、人の多さに圧倒
されました。多 数のsessionが同時並行で行われたためすべての内容を聴くことは不可能でしたので、
臨床の分野では急性白血病の治療や骨髄移植に関連した sessionを、基礎研究の分野ではstem cellに
関連したsessionを中心にまわりました。各演者は持ち時間を厳守しコンパクトでありながら内容の濃い発表
をされており、プレゼンテーショ ン能力の高さに感銘いたしました。日本の学会ではsession単位で演題を聞
かれる方が多いのに対し、ASHでは各演題単位で聞く方が多く一つの演題が 終わるたびに人の移動があ
り、その為にも時間が厳守されていることは大前提であると痛感いたしました。
 以下各sessionについて、感想を述べさせていただきます。

臨床の分野では、ASCOとのJoint SymposiumでAML寛解導入時のDNRの投与量による比較が報告され
ましたが、DNRの投与量が多い群においてよい成績が得られておりました。投 与量の多い群はJALSGの
プロトコールとほぼ同じ量であり、日本におけるDNR投与量の妥当性を示唆しておりました。

移植の分野では、日本に比べ欧米は GVHDの発症率が高いことを文献上は知っていましたが、
実際に口演を聞いているとその違いに改めて驚きを感じました。また、当科でも近年HLA半合致移植を
行っておりますが、plenary sessionでの制御性T細胞を用いたHLA半合致移植の報告は今後のHLA半合致
移植に対する新たな方法として興味深く感じました。その他、全体を通 じて多くの新規薬剤や日本では未承
認薬剤についての臨床試験が組まれておりました。白血病治療薬ではFlt3阻害剤であるLestaurtinibやCXCR4 antagonistのPlerixafor、抗CD22抗体、Azacitidineなど、移植の分野においては抗CD52抗体で
ある AlemtuzumabやFluに変えてClofarabine やPentostatinを使用したRIC(Reduced intensity conditioning)
や、免疫抑制剤であるRapamycinなど、多くの薬剤についての報告がされておりました。日本では未だ未承
認の薬剤が多く 歯痒い思いもありますが、今後の治療成績向上への希望も強く感じました。

基礎研究の分野ではnecdinによるhematopoietic regenerarionの発表がありました。
ASHの直前に日本からもnecdinについての論文がBLOODに発表されておりhotな分野であると感 じました。
また、Dmtf1による造血幹細胞のregulationやSKP2/P27による制御なども興味深く感じました。この分野で
はoral session、poster session共に日本人による日本からあるいは留学先からの発表が多く、勇気付けら
れると同時に私自身も今後の研究に精進したいと思いました。

 以上拙いながらも感想を述べさせていただきました。
最後にこのような機会を与えてくださったJALSGならびにNPO-JALSG支援機構の諸先生方に感謝申し上げ
ます。今回の貴重な経験を今後の臨床、研究に活かして行きたいと思います。
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