この度、NPO-JALSG支援機構からASH研修の費用援助をしていただき、ニューオーリンズでの学会に
参加することができました。非常に貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。
以下に特に印象的であったsessonについて感想を述べさせていただきたいと思います。
① SWOG S0106
急性骨髄性白血病の寛解導入療法と維持療法にGemtuzumab ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO)を併用
するかを比較したPhase 3
studyです。GOの有用性がなく、試験が途中で中止となったことで非常にインパク
トがありました。予後良好染色体異常ではGO投与群でOSやRFSの
改善が示されましたが、全体的にみる
とGO投与群では明らかに治療関連死が多いと報告されていました。GO非投与群でダウノマイシンの投与量
が少ない設定
であること、またGO 6mg/m2がoptimal
doseなのかの問題点が残されており、初回治療にGO
を併用するかを比較した他の2つのstudyがあり、今後の結果が待たれるとことであると思いまし
た。
② HyperCVAD with dasatinib
M.D. Anderson Cancer Centerからの報告で、HyperCVAD各コースごとに2週間のdasatinib
100mgを併
用したphase 2 studyです。同施設のHistorical ControlであるHyperCVAD with
imatinibと比較してもLFSに
遜色なく、毒性もdasatinibのため出血と胸水貯留が認められましたが、コントロール可能であったと報告さ
れ
ていました。
今後はこの結果をもとに、dasatinib連日投与と、rituximab併用したstudyを検討していると
報告されました。移植をせずとも良好な
LFSが得られており、今後も注目される内容と思いました。
③ Nilotinib for the frontline treatment of CML: ENESTnd Trial
CML慢性期に対し、初回治療でnilotinib 300mgまたは400mg1日2回と、imatinib 400mgを比較した
phase 3
studyです。NilotinibがMMR、CCyRともにimatinibと比較して明らかに早く、高い奏効率を得ました。
Sokal
scoreで分類しても、各リスク群でもnilotinibが奏効率が高く、注目すべきことに、1年後の解析時点
で、移行期/急性転化への進行も明らかに
低いことでした。毒性もimatinibと比べて忍容でき、今後初回治療
として検討できる可能性が示されていました。Imatinibは投与量、または反
応性に対して増量していくタイミン
グなどまだ検討段階なところがあり、適切な初回治療を検討した多くの試験が行われており、今後も注目す
べきことであると
思いました。
以上、一部ではありますが、とくに印象的であったものについて、述べさせていただきました。
このような機会を与えてくださったNPO-JALSG支援機構の諸先生方に深く感謝いたします。
今後も研鑽を重ねて、この経験を活かしていきたいと思います。