この度はNPO-JALSG支援機構により研修費補助を受け、2010年12月開催の第52回米国血液学会へ
参加させて頂きましたので、簡単ではありますがご報告します。
これまで海外へほとんど行ったことがなかった私にとって、単身での国際学会参加は当初とてもハードル
の高いことのように感じました。そのため、出発までは期待と不安が入り混じった落ち着かない日々を
過ごしていました。
渡米後は、単身での学会参加でしたので、とにかくすべてが体当たりで、日本で暮らしていては味わえない
貴重な体験でした。このような機会を与えられたことにとても感謝しています。
学会会場は巨大で圧巻でした。老若男女の多種多様な人種が参加し、ポスターセッション、口演、
製薬会社の展示など、すべてが大規模でした。発表においても、研究の規模が非常に大きく、多施設に
よる共同研究がさかんに行われていました。
Education Programは各疾患のreviewを最近の見地を交えて学べる内容なので初学者の私には
非常にためになる内容が多かったと思います。多発性骨髄腫分野では、ALアミロイドーシスの予後
に関して、心病変が大きな影響を持っていること、NT-proBNP、血清トロポニンの定量が心病変の
マーカーとして感度が高いことが強調されていました。
また新規薬剤の治療成績、またその組み合わせによる効果など様々な臨床試験が進行中とのこと
でしたが、骨髄腫関連の治療は新しい時代に入っていることを感じさせる内容でした。
Poster Board Ⅱ-196 JALSG CML202の新規慢性骨髄性白血病に対するイマチニブ300mg/日
投与が400mg/日に対する非劣勢であることを示した比較試験は、臨床の現場で遭遇する不耐容の
問題を考える上で非常に興味深い内容でした。
Poster BoardⅡ-254再発性多発性骨髄腫に対する臍帯血移植は、17症例での検討でTRM29%、
1年OS58%、1年EFS41%という成績でした。是非はあると思いますが、ハイリスク骨髄腫に対する
新しい試みと思われました。
国際学会に参加して痛感したのは自分の語学力のなさでした。
語学力を強化し、再びASHに参加したいと切に思いました。内容に関してもアウトラインを追うのが
精いっぱいで、その背景にある問題点を吟味する力は圧倒的に不足していました。
学会や論文で得られる情報を、批判的視点も持ちながら考察し、目の前の患者さんに還元できるような、
また日々の臨床的疑問を研究し発信していけるような臨床医を
目指して、日々邁進してゆきたいと思います。
最後に、このような貴重な機会を与えて下さったJALSGの諸先生方、事務局の方、
多忙な日常業務の中で私を快くASHへ送り出して下さった、小林部長をはじめ先生方、スタッフの方々、
そして患者さんに心より感謝いたします。