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森岡 健彦 先生(NTT東日本関東病院 血液内科)

ASH2010Report  NTT東日本関東病院 血液内科 森岡健彦

今回はJALSGの先生方の御好意によりASH2010に参加させていただき、非常に有意義な時間を
すごすことができました。今回のASHでは、私自身は、臍帯血移植領域、ミニ移植、Mesenchymal
Stem Cell (MSC)移植を中心に聴講しました。

 臍帯血領域では、Meet the ExpertでMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の
Dr.Barkerの話を直接聞く機会を得ることができました。比較的小グループでのディスカッションでしたが、
様々な国々からの参加者がいました。
日々の診療で直面している問題、関心事に関し、様々なディスカッションがありましたが、
彼我に大きな違いはないように感じられました。当たり前のことですが、結局、目の前の患者さんのために
日々の臨床の問題点を考え抜き、適切な診療を実践していく事が大切であると感じました。

 本邦では臍帯血移植が多く行われていますが、生着の遅れとこれに伴う日和見感染症は臍帯血移植
の大きな問題点のひとつとなっています。今回のASHのOral、Posterでは、Eurocord European Goup for
Blood and Marrow Transplantation(EBMT)(Abstract 223, 910)やMSKCC(Abstract 2351)らのDouble
Cord Transplantation、ドイツのRostock大学のKnueppelらの骨髄内輸注(Abstract 3711)の報告があり
ました。
いずれもGVHDの頻度はかわらず、生着の達成がはやまるとの事でした。帰国後に参加した造血細胞
移植合同班会議では、本邦でも名古屋大学の村田先生や兵庫医科大学の甲斐先生らの研究班から
その結果が報告されており、日々の臨床で実践する日も近いなと感じました。

 ミニ移植領域では、Educational book自体にはさほど強調されていませんでしたが、実際の講演では、
急性白血病や骨髄異形成症候群における高齢者のミニ移植につき、熱気をもって語られていました。
移植前のHSCT-CIの因子を十分に検討すれば、年齢はファクターにならないと強調している先生も
いらっしゃいました。ただし、一方で今回のEducational Programでは、移植で必要となる精神社会的な
サポート、移植後の長期的な合併症管理の重要性が強調されていました。

 MSC Transplantationでは、MD Anderson Cancer Center(MDACC)のRobinsonらより移植前に
MSCと共培養した上で移植すると、生着が早く、一方でGVHDは軽度であるとの報告がありました
(Abstract 362)。

 報告は以上の通りです。最後に、繰り返しになりますが、非常に有意義な時間を過ごさせていただき
誠にありがとうございました。今後の日々の臨床に生かしていきます。
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