今回、JALSG支援機構より研究費補助を賜り、アトランタで開催された第54回米国血液学会(ASH)へ
参加させて頂きました。
私は血液内科2年目で初
めての海外学会への参加でした。
ASHの規模はこれまで参加したどの学会よりも大きく、演題も多岐に渡り広い会場で並行して
セッションが進んでいくため、
毎日どこに参加するか悩みながら、予定表と格闘する日々でした。
早朝7時過ぎから夕方のポスターセッションまで、内容の詰まった時間を過ごさせて頂きまし
た。
以下特に印象的であった発表についてご紹介させて頂きます。
# Plenary session ATRA +ATOについて
APLの現状の標準治療はATO+化学療法ですが、ATRA+ATO療法の有効性、安全性を比較する
PhaseⅢ相ランダム化比較試験についての報告でし
た。ATRA+ATO療法はAIDA療法に比べて
2年EFSに関しては劣らず、肝毒性およびQTc延長の発現は高いが管理可能であり、血液毒性は低いと
の結果でした。
今後APLに対する新たな標準的治療法になり得る可能性があるとの報告でした。
# Plenary session 血小板輸血について
成人の造血器腫瘍患者を対象とした、予防的血小板輸注を行う群(予防群)と行わない群(非予防群)
を比較したTOPPS試験についての報告でした。予防群では非予防群に比べてGrade2-4の出血リスク
が低下したとの結果でした。
いずれも自分が日常診療の中で当たり前と思っていた、APLにはATRA±化学療法、
化学療法後に血小板低下した患者さんにはPC輸血、という概念を新た
に検証した臨床研究が
ASHのplenary
sessionで発表されている事に驚きを覚えました。
世界中でこれだけ大勢の血液内科の先生方が日々頑張っておられるという当たり前の事実を確認できた
事も、これからの診療の原動力となりました。
最後に、このような機会を与えていただいたJALSGの先生方、事務局の皆様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。