このたびはJALSG Young Investigator Travel
Awardをいただきまして,アトランタでのASHに参加
させていただき,大変ありがとうございました.聴講した演題のうち,いくつか個人的に印象的であったもの
について,下記の通り報告させていただきます.
#410
A Phase Ⅲ Study of New Synthetic Retinoid Tamibarotene(Am80)
Compared with ATRA in Maintenance Therapy for Newly Diagnosed Acute
Promyelocytic Leukemia (APL): Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG)
APL204 Study
JALSG
APL204試験の維持療法終了後の結果を直江先生が報告された.
維持療法まで含んだ長期に亘るprotocolかつ観察期間の結果で,Am80の有効性
を示した.
Am80という薬剤の今後さらなる活躍も思わせる結果であり,前日の伊・独よりのATOとATRAの
併用療法の新規APL患者への有効な報告
(#6 ATRA and Arsenic Trioxide (ATO) Versus ATRA and
Idarubicin (AIDA)
for Newly Diagnosed, Non High-Risk Acute Promyelocytic Leukemia (APL):
Results
of the Phase III, Prospective, Randomized, Intergroup APL0406
Study by the Italian-German Cooperative
Groups
Gimema-SAL-AMLSG)とあわせて,APLという疾患への更なる安全勝有効な治療の開発が
期待される報告であった.
私自身も血液腫瘍内科を志
し,最初に受け持ち患者を登録させていただいた試験の報告を実際ASHと
いう国際学会の場で聴いて,大変感慨深いものがあった.
#745
Gemcitabine, Dexamethasone, Cisplatin (GDP) Compared to Dexamethasone,
Cytarabine,
Cisplatin (DHAP) Chemotherapy Prior to Autologous Stem Cell
Transplantation for Relapsed and
Refractory Aggressive Lymphomas: Final
Results of the Randomized Phase III NCIC CTG Study LY12
本邦でgemcitabineは2012年9月に再発・難治性悪性リンパ腫に対する公知申請が行われ,
胆道・膵臓癌,尿路腫瘍,肺癌,再発乳癌,再発卵巣
癌に次いで使用可能となった.
これまで選択肢の少なかったピリミジン拮抗薬で,使用可能な薬剤が登場したことで,上記の腫瘍,
特に寛解率および再発率とも
に課題となり,rituximabのように有効な分子標的薬の登場が待たれる
T/NK細胞腫瘍,また再発・難治性Hodgkinリンパ腫に対しては有効で
あると期待される.
当報告はGDP療法の,これまでの標準的な救援療法であるDHAP療法に対する非劣性を証明した.
かつ毒性は比して軽度であり,本法で
も施行可能な有効なregimenとして期待される.
#60
Brentuximab Vedotin Administered Concurrently with Multi-Agent Chemotherapy
As Frontline Treatment
of ALCL and Other CD30-Positive Mature T‑Cell and
NK‑Cell Lymphomas
本邦ではまだ使用可能ではないが,前述の#745の報告とは別のアプローチによる新規CD30陽性
T/NK細胞腫瘍へのSGN-35併用療法の有効な結果の報告である.
その莫大な費用は今後の課題となるが,今後同疾患への有効な選択肢となることが期待される.