アメリカ、ニューオーリンズで開催されたASH2013 Annual Meeting and Expositionに参加させて頂きました。ニューオーリンズはジャズ発祥の地として有名ですが、あのミシシッピ川が流れる街でもあります。
今回はJALSGの先生方の御好意により参加させて頂き、非常に有意義な時間を過ごすことができました。多くの初めてお目にかかる血液内科の大先輩方とも懇親会でお会いでき、楽しい話もたくさん聞かせて頂きました。
今回のASHでは、私自身は、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、非ホジキンリンパ腫を中心に聴講しましたが、最も興味深かったのは、骨髄増殖性腫瘍(MPD)におけるカルレティキュリン(CALR)遺伝子変異の発表でした。MPDにCALR変異保有率は70-84%で、変異保有MPD患者は、JAK2遺伝子変異保有患者よりも血小板値が高く、ヘモグロビン値が低い傾向があるというものでした。これで、MPDにおける残りの1つの遺伝子変異が最後のピースが埋まるように見つかったことになるのでしょうか。そう考えると、今後のMPDの診断や治療に大きく寄与することになる発見かもしれず、その発表の場にいられることに高揚感を感じました。
あと、CBF-AMLの治療では、寛解導入療法にGO(ゲムスツマブ オゾガマイシン)を使用することで、また、地固め療法にHD-AraC(高用量キロサイド)を使用することで予後が有意に改善するという発表がありました。ちょうど私自身の担当患者の中に、同時期にCBF-AMLの方がいて治療を開始していたこともあり、非常に興味深いものでした。
他にも多くの興味深い発表を聞く機会がありました。イタリアのClara Camaschella先生のIron and Hepcidin の話などは一番大きな部屋に入りきらない人が聴講しており、私も混じって楽しく聴講しました。基礎研究に近い発表もいくつか聴講できましたし、世界で活躍する非常に若い同世代の先生の発表を聞いて刺激を受けることも多々ありました。
初めてのASH Annual Meetingでしたが、自分の今後にとって、知識の面でも刺激の面でもプラスになることばかりの数日間でした。今後の臨床に役立てることのできる知識も頂きましたし、血液疾患治療により一層の熱意をもって臨めると思います。このような機会を与えてくださったJALSGスタッフの皆様、職場の同僚の方々など、多くの人に感謝します。