この度、JALSG Young Investigator ASH travel Awardにご選出頂き、第56回ASH ANNUAL
MEETING AND EXPOSIONに参加させていただきました。
2014年のASHはサンフランシスコで開催されました。ゴールデンゲートブリッジが有名なサンフラ
ンシスコは西海岸を代表する都市であり、日本からアメリカ合衆国へのゲートシティでもあります。
年によってはTransitなどで大変なこともあるようですが、今回は成田から直通便に乗って一本の
快適な空の旅でした。
会期中は天候に恵まれ、大変過ごしやすい中での学会参加となりました。ケーブルカーが走る街の
中を、世界中から集まった人たちと一緒に会場まで向かう夜明けの道は、国際学会独特の高揚感が
あり、とてもいい思い出になっています。
過去ASHに参加された先生方も皆さん報告に書かれているように、その規模には大変驚かされました。
各Sessionが同時並行で行われ、興味のある公演が重なることも間々あるため予習は必須です。
無料でダウンロードできるアプリが大変便利で、各公演が何時何処で行われるかが一目瞭然の優れ
ものでした。
AMLの新規薬剤について
悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などの分野では、毎年のように新規薬剤が報告されている印象が
ありますが、AMLやMDSでもEpigeneticな領域から治療開発が進んでいます。DNMT阻害薬として
AzacytidineやDecitabineなどが先駆けて使用されてきましたが、IDH2阻害薬(Oral session #0115)
や、BETブロモドメイン阻害薬(Oral session #0117)などの第Ⅰ相臨床試験結果報告が今回の学会
でもなされていました。
本年度のPlenary session #6ではMultikinase InhibitorのSorafenibについて報告があり、Standard
therapyに追加することで、EFSとRFSを優位に改善させる結果が示されていました。
CARについて
ALL領域ではImmunotherapyが一つの大きな流れになっているように感じます。その中の一つ、
Chimeric Antigen Receptor T cellsは本学会でも複数のOral sessionで紹介されていました。Oral
session #379-384はCARを取り扱った報告であり、主に小児領域で実用化が進んでいるCARが
Relapsed/ RefractoryなALLにおいて驚くべき治療効果を発揮していることが示されています。
臨床研究について
経験が浅いながらも造血幹細胞移植に携わる身として、その有用性と限界について感じるものが
あります。日々行っている移植の一つ一つを、後世に役立てていくために価値ある報告としてまとめ
上げる必要を痛切に感じており、各国から報告されるOral/ Poster sessionに目を引かれました。
当前のことですが、ASHで報告される発表は多施設、大規模が基本です。Oral session #0421や
#0422ではHCT-CIに加える移植後予後予測因子としてFerritinやAlbumin、CRPなど日常的に調べ
る検査データを使用したものでありましたが、その規模はそれぞれn=3917、n=784と桁の違うもの
でした。世界において日本が発信力をもっていくためには、各施設を線でつなぐ組織の存在が不可欠
であり、改めてJALSGの偉大さを感じた次第でした。
今回、Young Investigator ASH travel Awardという栄誉ある機会を頂き学会に参加させていただいた
だけでなく、懇親会でJALSGの中核を担う大先輩方とお話をする機会を頂けたのも大変心に残る経験
でした。教科書や臨床試験計画書などに名を載せる高名な先生方との食事会となり緊張しましたが、
大変親しみやすく、また熱意に溢れるお話を聞けて今後の血液内科医としてキャリアを積むモチベー
ションが高まりました。
このような大変貴重な機会を与えて下さったNPO-JALSGの先生方、同事務局の皆様、また不在の間
迷惑をかけるにも関わらず快く送り出して下さった都立駒込病院の先生方に御礼申し上げて、締めの
言葉に代えさせて頂きます。
ありがとうございました。