この度はJALSG Young Investigator ASH Travel Awardによるサポートというご厚意を賜り、
サンフランシスコで行われました第55回米国血液学会に参加してきました。
出発前の天気予報はあまり芳しくなかったのですが、サンフランシスコ滞在中は幸い天候に
恵まれており、持参したコートも荷物となってしまうくらい大変過ごしやすかったです。会場も
複数個所に分かれていましたが距離もそれほど離れておらず、比較的移動もスムーズに行
えました。
リンパ腫領域についてはDLBCLにおけるinterim PETの報告が複数なされていました(#391, #392)。
PETAL trialではinterim PET陽性であった場合に治療強度を強化してもOSは改善しないとの結果
でした。ただし、CR rateが改善する傾向は認められ、今後high grade B cell lymphomaといった更
なる層別化やレジメンの変更で結果は変わるのかもしれません。Plenary scientific sessionでは
腸管GVHDの早期マーカーとしてのCD146+CCR5+T cellの有用性(#003)やAML患者に標準治療
へのsorafenibの上乗せ効果(#006)について発表されていました。新規薬剤についての演題はこれ
まで多発性骨髄腫や悪性リンパ腫領域から多かった印象でしたが、遺伝子解析が飛躍的に進んだ
ことを反映して近年は白血病領域での報告が盛り返してきているようです。
Biology Based Acute Leukemia Therapyという教育口演では様々な臨床試験中の薬剤をoverview
されていましたが、今後そうした薬剤を白血病領域でもfrontlineで使用していく時代になると述べられ
ていたのが印象に残っています。新規薬剤の登場により治療選択肢の増えた多発性骨髄腫では、
本邦で使用可能な3剤にFDAで認可されているcarfizomib、pomalidomideを加えた5剤が”The Big Five”
として述べられているsessionもありました。こうした急速な医学の進歩は血液内科としての醍醐味で
あるとともに、知識を常に最新にしておく大変さやdrug lagの問題について考えさせられました。
また、MD Anderson Cancer Centerで働かれている先生がfirst authorで4演題を発表されると伺い、
そうした進歩は諸先生方の多大なご尽力によるものであると再認識するとともに自分も微力ながら
貢献していけたらと思いました。
今回のASHでは同種造血幹細胞移植関連の演題を発表させていただくことができ、海外の先生
からも貴重な意見を頂くことができました。また、懇親会の機会を設けて頂き、御高名な先生方と
ワインテイスティングからIDH阻害薬まで色々な話題についてお話しでき、非常に有意義な経験と
なりました。同年代の先生方とお話しできたことも刺激となりました。
最後になりましたが、この様な貴重な機会を私に与えてくださった、JALSG支援機構の先生方、
事務局の皆様、そして、私を快く送り出してくださった当院のスタッフの方々に深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。