よりよい白血病治療のために
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内山 由理 先生(済生会前橋病院 白血病治療センター)

済生会前橋病院白血病治療センター 内山 由理

   この度JALSG Young Investigator ASH Travel Awardに採用いただき、オーランドで
開催された57ASH Annual Meeting & Expositionへ参加させていただきま
した。海外の学会への参加が初めてだったこともあり、学会場の実際の広さという面で
も、また数多く多岐に渡るセッションが朝早くから夜遅くまで行われているという面でも、
スケールが大きくとても衝撃を受けました。ほかの先生方もご報告されているように、学
会場が本当に広いため、予めiPadにダウンロードしておいたASHのアプリを使って、し
っかり計画しておくことはとても重要だと実感しました。それでも学会場の端から端まで
歩くと15分くらいはかかってしまいます。そして会場の多くは日本人にとっては寒いこと
が多いのではないでしょうか。特に女性はさっと羽織れるものを持参することをおすすめ
します。それではASH参加の報告を致します。

   私自身は現在大学院生で研究にも従事しております。今後の造血器腫瘍の診断・治
療の方向性を知りたいと思い、基礎研究と臨床とのつながりに関連する最新の報告を中
心に学会場をまわりました。

   白血病やMDSに関連するセッションでは、次世代シークエンサーを使用した腫瘍の原
因となる遺伝子変異の解析と、同定した遺伝子変異についてドロプレットデジタルPCRを
使用した初期治療効果の判定及びMRDのフォローアップを組み合わせた報告が多数あり
ました。初期治療からその後の経過までを数十人から数百人単位でフォローしており、諸
外国の大規模studyの強さを実感しました。特に初発時に認めていた予後不良遺伝子変
異が、初期治療終了後にddPCRで消失を確認できた症例はその後の再発率も (当たり前
ですが)低く、逆にわずかにでも予後不良な遺伝子変異におけるMRDを認めていた症例の
多くがその後のフォローで再発していいました。これらが実臨床に応用されるようになると、
移植を含めた治療方針の決定の新たな因子になるのではないかととてもわくわくしながら
聴くことができました。腫瘍の本態について遺伝子変異レベルで把握することが、今後臨
床医にますます求められていく時代になるのだと改めて認識しました。それにしても、解析
にかかる費用も考えるとアメリカの大規模studyの強さには心の底から驚くばかりです。

   もう一つとても印象に残ったことは、Plenary sessionでhemoglobin F産生とLRF /ZBTB7A
に関する発表です。cell line、knocked out mouseの実験系、それぞれにおけるRNAseq
での発現解析と、とても幅広い研究成果の発表で本当に興味深く拝聴しました。初めて
参加したASHで日本人のすばらしい講演をきく機会に恵まれたことも幸運であったと思い
ます。

   最後になりましたが、ASHへの参加の機会を提供していただきましたNPO-JALSG支援
機構の事務局ならびに先生方にこの場を借りて深く感謝申し上げます。今回の経験を臨床
及び自身の研究に役立て、今度は自分の発表で学会参加をしたいと強く思いました。本当
にありがとうございました。

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