よりよい白血病治療のために
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服部 大樹 先生(東京慈恵会医科大学附属病院 腫瘍・血液内科)

 この度は、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2019に採択いただき、12月7~10日にフロリダ州オーランドで開催された61th ASH Annual Meetingに参加して参りました。私自身は海外学会自体が初めての経験であり、世界最大規模の国際血液学会を直に体感でき、最新知見のみならず多くの刺激を得ることができ、振り返れば自分にとって大変意義深い経験となりました。会場となったオーランドは日本と比べて12月にも関わらず温暖な気候であり、予想以上に過ごしやすいものでした。

 会場の中に目を移すと、続々と登場する新規薬剤を用いた各国の臨床試験のデータが次々と報告されておりました。私は、興味のある分野として急性骨髄性白血病や同種移植の分野に関する演題を中心に拝聴しました。2019年に論文化されたものとして、高齢者AMLに対するVenetoclaxに関して、AzacitidineやDecitabineと併用するPhase1b試験や、LDACと併用するPhase2試験による良好な成績が報告されました。今回のASHでは更に、強力な寛解導入療法であるFLAG-IDAと併用での成績が報告されました。日本ではVenetoclaxがAMLに対して未承認である中、海外では次々と治療の可能性が広がっていることを感じました。また、Oral Azacitidineとして知られるCC-486のPhase3データが報告され、移植適応のないAMLの寛解導入療法後または地固め療法後の維持療法として、初めてRFSおよびOSを共に有意に改善させました。移植の分野ではフルマッチ移植でのPTCY移植のデータがPlenary sessionで報告され、従来型のGvHD予防と比較してOSやPFSを維持しつつ、急性および慢性のGvHD発症を有意に減少させました。

 学会全体を通して、演題数の多さもさることながら日本の国内学会と比べてレベルの高さ、研究規模の大きさを痛感する発表に多く出会い、大変良い経験となりました。現地で開催された、Young Investigator Travel Award に選出された全国の先生方と JALSG メンバーの先生方との昼食会も、とても有意義な時間でした。最後になりましたが、今回このような貴重な機会を与えてくださったJALSGの皆様ならびに各先生方に深く御礼申し上げると共に、今後の診療に生かして参りたいと思います。
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