よりよい白血病治療のために
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竹田 淳恵 先生(京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学/ 腫瘍生物学講座)

 この度研究成果をJALSG Young Investigator ASH Travel Awardの演題として評価していただいたことを光栄に存じます。

 私は血液内科医として患者さんを診る機会を通じ、症状の改善、寛解を得る治療ができたこともありましたが、そうでないことを経験することも多くありました。現在の治療を自分の手で少しでもより良いものにできないか、その一心で大学院に入学し研究を始め6年目となり、発表を通じ研究をより深めるため、米国血液学会(ASH)への発表を決めました。

 ASHでは世界中から臨床、基礎分野の研究者が集まり自らの成果を発表、議論する場であり、世界を牽引する研究者らの批判的な意見や助言、議論を通して自らの研究をより客観的に評価することができる貴重な機会でもありました。

 2019年開催地はフロリダ州中央部にあるオーランドであり、12月でしたが暖かく天気にも恵まれ広大な会場で何度も耳にした ”Welcome to beautiful Orlando!” を実感することができました。膨大な数の発表を誇るプログラムを見つつ同時に行われている発表をどれを聴くべきか抄録を読んでは質の高さに目移りしてしまい悩み、の繰り返しでした。どのsessionも研究者の多大な熱意、努力、思考が尽くされており、目を見張るようなものがいくつもありました。その中でもTP53変異を持つ造血器腫瘍を扱うsessionがあり、どのような染色体異常が造血器腫瘍を惹起するのか、また変異によりどのような代謝産物が発病に関与するのか、など様々な観点から難治疾患に取り組んでいる研究グループの発表が続き、高頻度のTP53変異を特徴とする急性赤白血病を研究している駆け出し研究者の身としてとても興味深く、勇気づけれるような気がいたしました。

またJALSGが主催してくださった血液内科医、研究者として20年以上前から毎年ASHに参加されている諸先輩方や他分野の研究に邁進する同世代の参加者のお話を聞く貴重な機会もあり、
“『今の君たちが、将来は指導する立場になるのだ』と何十年も前に言われたものだ”
というお言葉を聞いて連綿とした努力の上に今があり、そして今後も精進を続けることの大切さを説かれていると思いました。

 最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださったJALSG事務局の皆様、選考委員の先生方、発表に際し指導してくださった指導医、共同演者の先生方、そして研究のため検体を下さった方々に深く感謝し、筆をおきたいと思います。
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