よりよい白血病治療のために
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小沼 亮介 先生(東京都立大塚病院 輸血科)

 今回JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2019に選出して頂き、61st ASH Annual Meeting and Exposition に参加して参りました。初めての国際学会参加で、出発前はとても不安でしたが、血液学の最新の知見を得ることができ、大変有意義で刺激的な経験を積むことができました。ASHの会場はとても広大で、複数のSessionが並行して開催されていましたので、現在自分が関心を持っている急性白血病、造血細幹胞移植に関する演題を中心に聴講いたしました。特に興味深く感じた演題について、いくつか紹介をさせていただきます。

  急性骨髄性白血病に関しては、寛解期患者に対する経口アザシチジン(CC-486)による維持療法の第III相試験の結果が発表され、維持療法によるOS、PFSの延長が示されていました(BA-3)。また、脱メチル化薬と新規薬剤(VenetoclaxやMBG-453など)の併用治療が数多く報告されていました(Abstract 568, Abstract 570, Abstract 2637など)。

 急性リンパ性白血病に関しては、Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病のfront lineの治療としてHyper-CVADとPonatinibの併用療法の長期成績が報告され、高い奏効率が報告されていました(Abstract 283)。また、Blinatumomabに関連した演題が多く発表されていました(BA-1、Abstract 823など)。CAR-T/NKやBiTEに関連した演題が数多く発表されていましたが、中でもCD19/CD22のDual CAR-T(Abstract 284)とOff-the-ShelfのCAR-NK(Abstract 301)の演題が大変印象に残りました。

 造血幹細胞移植に関しては、HLA一致血縁・非血縁移植においてGVHD予防としてPT-CYとCsA+MMFの比較試験HOVON-96)の結果が報告され、PT-CY群で良好なGRFSが示されていました(Abstract 1)。

 今回のASH参加を通して、世界中の血液内科医と研究者が血液疾患の患者さんを一人でも多く助けられるよう研究に励んでいること、病態の解明が進みつつあること、新規治療が数多く開発されていることが強く実感されました。

 最後になりましたが、大変貴重な機会を与えて下さったJALSGの先生方と関係者の皆様、ご多忙にも関わらず快く送り出してくださった都立病院の先生方に心より御礼申し上げます。今回ASHで学んだことを診療に還元できるように、そしていつかASHで発表ができるように、今後とも精進したいと思います。
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