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石田 大貴 先生(NTT東日本関東病院 血液内科)

 この度はJALSG Young Investigator ASH Travel Award 2020のご支援を賜り,62th ASH Annual Meetingに参加させていただきました。COVID-19の影響でオンラインでの参加となりましたが,3月までオンデマンド配信がなされていて,後から興味のある講演を見返したりと,オンラインならではの利点も感じられました。

 多分野にわたるハイレベルな演題が世界中から集結しており,洗練された教育講演や発表を聞くことで,世界の最先端のレベルを体感し,密度の濃い勉強ができました。私のような新米の血液内科医にとって,願ってもない機会であり,ASHでしかできない体験でした。

 非常に興味深い講演ばかりでしたが,特に印象に残ったのは,CAR-T療法の進歩でした。再発難治の低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象とした第2世代抗CD19-CAR-T(Axi-Cel)の報告では,ORR 92%,CR 76%と有望な結果が発表されました。再発難治の多発性骨髄腫に対するBCMAを標的としたCAR-T療法(cilta-cel)の報告もアップデートされ,ORR 94.8%,sCR 55.7%と良好な成績を維持していました。これ以外も多数のCAR-Tの最新の報告がなされ,これまで有効な手がなかった再発難治症例に対する治療として,幅広い疾患でCAR-Tのさらなる発展が期待されます。また,高齢の高リスク骨髄異形成症候群において,HLAフルマッチドナーが得られればOSが向上することが示唆されたことや,ステロイド抵抗性の急性GVHDに対する効果は既知であるルキソリチニブが慢性GVHDに対しても従来治療群の2倍近い奏功率が得られたことなども,近い将来に大きな影響を与えうる報告でした。

 この他にも,最新の臨床試験の結果などの知見に触れることができ,大変有意義で刺激的な経験となりました。今回学んだことや感じたモチベーションを,今後の自身の日常臨床,ひいては将来の研究活動へ役立てていければと思います。そしていずれ,このような舞台で世界に情報を発信できるような人間になりたいと思いました。また同時に,反省点として,背景知識の不足も実感しました。背景知識がより豊富であれば,より深い理解やさらなる研究課題に到達できるだろうと感じました。今後の糧にさせていただきたいと思います。

 最後になりましたが,このような貴重な機会を与えてくださったJALSGのスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。
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