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村主 啓行 先生(京都大学医学部附属病院 血液内科)

 私はこのたび、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2021に採択していただき、ASH2021に参加しましたのでご報告します。

 私は後期研修医の時期に同種造血幹細胞移植を数多く担当しました。その中で、重症のGVHDを発症し、あらゆる治療を尽くしても容態を改善させることができなかった患者がおり、大変悔しい思いをしました。GVHDで苦しむ患者を減らすために研究をしたいと考え、大学院へ進学しました。2019年のASHでは臨床研究に関する発表を行い、今年は基礎研究について発表しました。

 今年はCOVID-19の影響で現地に赴くことができず、オンライン参加となりました。現地参加の際は広い会場内を何度も移動する必要があったり、興味のある講演が同時に開催されて片方しか参加できなかったりしましたが、オンライン参加ではほとんど全ての講演をオンデマンドで聴講することができました。一方で、バーチャルで質問を受けたり、ミーティングを開いたりといった機能はあったものの、議論を深めたり、新たな人脈を作ったりといったことは十分にできず、オンライン参加の物足りなさも実感しました。

 学会の一般口演・ポスターは土曜日から始まったのですが、金曜日にはFriday Satellite Symposiaがあり、複数のエキスパートによる教育講演や症例検討、ディスカッションを聞くことができました。最新の知見に触れて頭の中を整理してから土曜日以降の学会に参加できたので、非常に良いシンポジウムでした。

 学会中に印象に残ったことは、私の専攻分野であるExperimental Transplantation/GVHDの一般口演において、6演題中3演題が日本人による発表だったことです。日本で研究成果を上げられた先生方が海外へ留学され、さらに発展的な研究を行って活躍していらっしゃることに大変刺激を受けました。私は海外留学をせずに国内に残ることにしましたが、これからも国際学会に継続的に参加することにより、最先端の研究成果や知見について学んでいきたいと思いました。

その他に興味深かった演題としては、致死的急性GVHDに対するUrinary-Derived Human Chorionic Gonadotropin/Epidermal Growth Factorの第Ⅱ相試験、難治性慢性GVHDに対する抗CSF-1R抗体の第Ⅰ/Ⅱ相試験、体外増幅した臍帯血由来の造血幹細胞成分Omidubicelを用いた移植における免疫再構築の検討、などがありました。造血幹細胞移植の成績向上を目指した基礎・臨床研究にこれからも携わり、貢献していきたいと改めて感じました。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださったJALSGの皆様、研究の指導をしてくださった先生方、そして研究にご協力いただいた患者の皆様に深く感謝いたします。どうもありがとうございました。
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