この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2022に採択頂き、64th ASH Annual Meetingに参加させていただきました。 COVID-19の影響もありwebでの参加となりましたが、多くの最新の知見について触れ、学ぶ事ができた貴重な機会となりました。 私は初期研修時代から駒込病院で研修を継続し同種移植という治療を主に、ここ最近では細胞治療としてのCAR-T療法も含めた移植細胞治療を軸として血液診療に携わって参りました。その診療の中で感じていた治療や合併症管理の壁がASH Annual meetingでは既に実践され報告されており、興味深い発表が多くありました。その中のいくつかを紹介させていただきます。同種移植に関連したセッションでは再発難治性AMLの移植前療法としてintensive chemothapyでCRを目指すか、intensive chemothrapyなし又はblast control程度の化学療法からのなだれ込み移植を行うかのphase3のランダム比較試験結果が発表され、なだれ込み移植成績がCR移植に非劣性であることが示されていました。実臨床上でも化学療法での合併症リスクや全身状態などから移植前intensive chemothrapyなしで移植へつなげられないかと悩む例もありそういった集団への移植アプローチの救いとなるデータを知る事ができました。また、CAR-T療法では再発難治性のLBLに対する自家移植後のCAR-T治療と化学療法のランダム比較試験結果が示され、CAR-T療法がそれら集団でのCR rate, PFSを改善することを示していましたが、分子標的薬の進歩による治療効果改善が得られる中でどの集団にCAR-T療法を適応させていくかを考えさせられる報告となっていました。 また、VEXAS syndromeのセッションは今回のASHで比較的大きなトピックの1つと私は感じており、MDS患者におけるUBA1変異と臨床症状との関連や予後についての検討やUBA1のmutation profilingによる機能異常解析についての発表は興味深いものが多く、今後さらなる注目を集めるものになるのではないかと感じました。 最後になりますが、こうした先進的な研究結果に触れる機会をいただきましたこと改めてJALSG関係者の皆様へ感謝申し上げます。 今後、私自身も臨床・研究においてASHで世界に向けて情報発信することができるよう精進して参りたいと思います。 |