よりよい白血病治療のために
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中川 諒 先生(東北大学病院血液内科 [所属:仙台市立病院血液内科])

この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2023のご支援を賜り、65th ASH annual meetingへweb参加させていただきました。web参加の利点としまして、自分の都合の良い時間に、自分のペースで視聴することができました。

私は、大学院在学中に白血病モデルマウスを用いて、再発難治性白血病の新規治療標的の同定およびCAR-T細胞の有効性をテーマに研究を行って参りました。現在は、研究中に得られた知識・技術をベッドサイドの患者さんに届けるべく、臨床に取り組んでおります。これまでに臨床で経験してきた治療困難で予後不良な白血病を理解し、克服するために、臨床医学と基礎研究両者の知見を深めたいと強く考えており、ASH meetingへの参加と至りました。

再発もしくはunfitのFLT3変異AMLに対するvenetoclax、decitabine、Quizartinibの3剤併用療法の有効性・安全性に関する報告や、AMLへのtuspetinibの臨床試験の結果について報告を視聴しました。特に、tuspetinibはmulti-target inhibitorでありながらも、venetoclaxとの併用下で少ない副作用で、AMLに対する有効性を示しており、大変興味深く感じました。

基礎の発表に目を向けますと、白血病の治療抵抗性獲得やCNS浸潤の機序の解明や、様々なアプローチで新規治療標的の同定とその評価についての報告が多くなされておりました。また、cellular immunotherapiesのセッションでは、CAR-T細胞療法の治療効果をいかに長期期間維持するか、また、より腫瘍細胞特異的にして、正常細胞への副作用を少なくするか等のアイディアが世界中から集まっており、ぜひ今後の研究に活かしたいと思いました。

世界中から多くの著名な血液内科医、研究者が参加するASH meetingにおいて様々な最新の研究成果を学ぶことで、研究・臨床両方の場で、既存治療では根治が難しい白血病患者さんを助けたいという想いがより一層強くなりました。

最後になりますが、サポートいただいたJALSG事務局の皆様、選考委員の先生方、そして推薦してくださった張替先生、横山先生に深くお礼申し上げます。
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