よりよい白血病治療のために
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林 哲哉 先生(大阪市立総合医療センター 血液内科)

この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2024にご採択いただき、サンディエゴで開催されましたASH 2024へ現地参加しましたため、ご報告いたします。

 

教育講演では、既存のエビデンスに基づいた「現時点での標準的治療」の整理に加え、最新の臨床試験の結果や、演者自身のexpert opinionを含めた「これから標準となりうる治療」についても言及されており、学びの多い時間となりました。Oral Sessionにおいても、標準治療の転換に繋がりうるような最新の基礎・臨床研究成果が数多く報告されていました。私自身が過去に取り組んでいた粘膜免疫と造血・免疫細胞療法に関わる分野の研究については、独立したSessionが複数組まれており、注目度の高さが窺われました。CAR-T細胞療法後の腸内microbiomemetabolomeの変化と、抗腫瘍効果や治療転帰に関する報告もあり、学術的知見の積み重なりを実感しました。Plenary Sessionにおいて発表された、小児初発NCI標準リスクB-ALLに対する寛解導入療法後のBlinatumomab併用レジメンの有用性を示すAALL1731試験の結果は、当院でもその是非が議論されていた領域であり、結果と速報性に感銘を受けました。保険診療上の制約は依然として存在するものの、今後本邦における治療方針の転換が期待されます。Poster Sessionにおいても、私たちの臨床的疑問に、より直接関わるような、創意工夫に富みかつ質の高い研究発表を聴くことができました。世界の研究が進む早さを実感する一方で、発表者の方々のお話を伺うにつけ、日々の診療の中で抱える課題自体は、国籍・地域に関わらず共通のものが多いことも感じました。日々の困難から目を背けることなく、解決に向けた取り組みを行うことの重要性を再認識しました。

 

また、本学会期間中、現地に留学され研究活動に取り組まれている日本人の先生方や、演題発表されていた他医局の先生方と交流する機会にも恵まれました。学会期間中にお話しいただきました先生方には、この場をお借りして改めまして御礼申し上げます。

 

学会全体を通じて、最新の知見や研究成果に数多く触れられたことに加え、現地の研究者の方々が楽しみながら学術活動に取り組まれていたことが強く印象に残り、私にとり大きな気づきとなりました。表に現れない苦労も当然存在することと思いますが、忌憚なく議論できる風土醸成はもちろんのこと、会場の環境整備(音楽・映像利用、軽食の準備、power napやスポーツを楽しむスペースも設営されていました)においても、一つひとつは些細なことですが様々な工夫がなされており、ストレスを軽減し学術活動をより楽しいものにするという、学会としてのコンセプトが伝わってきました。私たちの仕事は、臨床・研究とも、ともすれば辛く苦しいものになりがちですが、Scienceを、ひいては人生を楽しむマインドを忘れないことの重要性を、本学会に教えてもらえたように感じました。

最後になりましたが、このような貴重な機会をくださりましたJALSGのみなさま、そして業務上ご配慮いただきました大阪市立総合医療センター血液内科の医師ならびに医療スタッフのみなさまに深謝いたします。

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