白血病のお話をする前に、血液を造る工場である骨髄について説明します。
骨髄は硬い骨の中にあるスポンジのような軟らかい組織です。ここでいろいろな種類の血液が作られます。
病気の説明
白血病の原因は
図1
血液は大きく分けて3つあります。
まず第一に赤血球です。赤い色をしていて酸素を体の隅々まで運ぶ働きをします。これが減少すると、少し歩いただけで息切れがしたり、体がふらついたりするいわゆる貧血といわれる症状がでます。
次に白血球です。白血球には大きく顆粒球とリンパ球に分けられますが、ともに細菌やウイルスから体を守る感染防御の仕事をします。従って白血球が減少すると感染がおこり熱がでます。
最後に血小板と言われる小さな血球があります。血小板は血を止める働きをします。これが少なくなると出血がおこります。血小板は骨髄の中の巨核球という細胞から放出されます。骨髄ではこれらの血液細胞が血液の親玉のような細胞、すなわち造血幹細胞から分化してできます。
幹細胞から赤血球に分化していく細胞を赤芽球、白血球に分化していく細胞を骨髄芽球やリンパ芽球といいます。
図1のように骨髄の中を覗くと、様々な細胞であふれています。
白血病細胞は骨髄の中で分化している若い細胞、すなわち赤芽球や骨髄芽球やリンパ芽球のレベルでの異常によっておこります。
まず第一に赤血球です。赤い色をしていて酸素を体の隅々まで運ぶ働きをします。これが減少すると、少し歩いただけで息切れがしたり、体がふらついたりするいわゆる貧血といわれる症状がでます。
次に白血球です。白血球には大きく顆粒球とリンパ球に分けられますが、ともに細菌やウイルスから体を守る感染防御の仕事をします。従って白血球が減少すると感染がおこり熱がでます。
最後に血小板と言われる小さな血球があります。血小板は血を止める働きをします。これが少なくなると出血がおこります。血小板は骨髄の中の巨核球という細胞から放出されます。骨髄ではこれらの血液細胞が血液の親玉のような細胞、すなわち造血幹細胞から分化してできます。
幹細胞から赤血球に分化していく細胞を赤芽球、白血球に分化していく細胞を骨髄芽球やリンパ芽球といいます。
図1のように骨髄の中を覗くと、様々な細胞であふれています。
白血病細胞は骨髄の中で分化している若い細胞、すなわち赤芽球や骨髄芽球やリンパ芽球のレベルでの異常によっておこります。
図2
この異常によりこれ以上分化できません。このため一旦白血病細胞ができると、この異常な芽球(白血病細胞)が骨髄の中に貯まっていき、やがて正常な血液細胞が居る場所がなくなり、その結果血球減少がおこり、貧血や発熱や出血がおこってきます。 (図2)
慢性骨髄性白血病(CML)では少し話しが違います。CML細胞は染色体の転座がおこっています。9番染色体と22番染色体の転座です。この結果本来9番染色体にあるABLという遺伝子と22番上のBCR遺伝子が融合し、その結果BCR-ABL融合遺伝子ができます。本来ABLは白血球の中でそとからの信号によりスイッチが入り活動型になり、細胞増殖をはじめます。しかしBCR遺伝子と融合することにより、常にスイッチが入ったかたちになり、外から命令がなくてもどんどん増えていきます。
慢性骨髄性白血病(CML)では少し話しが違います。CML細胞は染色体の転座がおこっています。9番染色体と22番染色体の転座です。この結果本来9番染色体にあるABLという遺伝子と22番上のBCR遺伝子が融合し、その結果BCR-ABL融合遺伝子ができます。本来ABLは白血球の中でそとからの信号によりスイッチが入り活動型になり、細胞増殖をはじめます。しかしBCR遺伝子と融合することにより、常にスイッチが入ったかたちになり、外から命令がなくてもどんどん増えていきます。
白血病の治療
白血病細胞を退治する抗白血病治療と、白血病に伴う感染症や出血などを予防や治療をしていく支持療法があります。支持療法については後で述べます。抗白血病治療としては化学療法、放射線治療、分子標的療法、免疫療法があります。
寛解と完全治癒
初診時の患者さんの体内にある白血病細胞数は1兆個と考えられています。これを0にしていくために治療を行います。顕微鏡で白血病細胞が数えられなくなった状態を寛解とよびます。寛解といっても体内にはまだ多数の白血病細胞があることになりますので、繰り返し治療をしていくことが大事です。
化学療法
いわゆる抗がん剤による治療です。
この治療は白血病細胞が分裂するときに、それがうまくいかないようにして、白血病細胞を退治してしまします。白血病細胞が正常な細胞よりも分裂速度が速いことを利用していますが、正常な細胞に対しても障害を起こします。副作用を一覧にして示します。
抗がん剤投与中の消化器症状や、それに遅れて出てくる脱毛などがあります。化学療法により骨髄の中の白血病細胞が攻撃されると、骨髄の中は一時的空っぽになります。この時期は正常の血球数はさらに低下し、感染、出血、貧血の症状がさらに強くなります。やがて骨髄の中は正常の血液細胞が回復してきて症状がおさまります。(図5)
この治療は白血病細胞が分裂するときに、それがうまくいかないようにして、白血病細胞を退治してしまします。白血病細胞が正常な細胞よりも分裂速度が速いことを利用していますが、正常な細胞に対しても障害を起こします。副作用を一覧にして示します。
抗がん剤投与中の消化器症状や、それに遅れて出てくる脱毛などがあります。化学療法により骨髄の中の白血病細胞が攻撃されると、骨髄の中は一時的空っぽになります。この時期は正常の血球数はさらに低下し、感染、出血、貧血の症状がさらに強くなります。やがて骨髄の中は正常の血液細胞が回復してきて症状がおさまります。(図5)
図5
分子標的療法
近年白血病がなぜ起こるのか世界中で調べられてきました。そして白血病に関連した遺伝子の異常少しずつわかってきました。遺伝子の異常により、細胞の分化、分裂、細胞死に関わるたんぱく質に異常が起こり、細胞の分裂速度が早くなったり、細胞が不死になったり、細胞の分化が止まったりして、白血病が発生します。
分子標的療法はこの異常な部分にだけ働くお薬です。また白血病に発現しているような蛋白に対する抗体を使った治療も開発されています。これらの治療を総称して分子標的療法と呼んでいます。
JALSGではAML,APL,ALL,CMLの一部で、このような薬を使うことを計画しています。副作用は抗がん剤と比較して軽度でありますが、費用がかかるといった側面もあります。
分子標的療法はこの異常な部分にだけ働くお薬です。また白血病に発現しているような蛋白に対する抗体を使った治療も開発されています。これらの治療を総称して分子標的療法と呼んでいます。
JALSGではAML,APL,ALL,CMLの一部で、このような薬を使うことを計画しています。副作用は抗がん剤と比較して軽度でありますが、費用がかかるといった側面もあります。
放射線療法
放射線治療は白血病の治療としては稀にしか使われません。腫瘤性の病変や、頭蓋内に白血病細胞があるときに、使われることがあります。
免疫療法
免疫療法には以前より行われていた免疫を強めると考えられていたお薬を使う場合と、リンパ球を体から取り出して、活性化して患者さんに返すという方法があります。どちらの方法も、一般の患者さんに有効であるという証拠がないため、限られた状況でのみ使用されます。
支持療法
支持療法とは、白血病そのものによって、あるいは白血病に対する治療によって、おこりうる症状に対する予防と対処をいいます。化学療法後には各血球数が下がります。一般的には血小板は2万以下になると、赤血球はヘモグロビンが7g以下になると血小板輸血や赤血球輸血が行われます。白血球数が低下すると感染症になります。
この予防として抗菌剤を内服することがあります。また感染症になった場合抗菌剤を点滴にて投与します。白血球を増やすG-CSFというお薬を使うこともあります。その他出血を抑える薬や、白血病細胞がこわれたときに増える尿酸を抑える薬が使われることもあります。
この予防として抗菌剤を内服することがあります。また感染症になった場合抗菌剤を点滴にて投与します。白血球を増やすG-CSFというお薬を使うこともあります。その他出血を抑える薬や、白血病細胞がこわれたときに増える尿酸を抑える薬が使われることもあります。